おむすびはいったいいつ頃から食べられているのでしょう?
お米を食べるようになったころからおむすびはあったのでしょうか?
いよいよ、おむすびの歴史に迫ってみたいと思います。
※このエントリーでは便宜上「おにぎに」「おむすび」をまとめて「おむすび」と表記します。ただし引用文については原文ままで「おにぎり」と表記します。
【1】日本最古のおむすび
「日本最古のおむすび」とインターネットで検索すれば、たくさんのWEBサイトがヒットします。
石川県の杉谷チャバタケ遺跡(杉谷チャノバタケ遺跡ともいう)から出土した弥生時代のものが最古のおむすびと言われています。
これは蒸して固めたもち米の化石(炭化したもの)で、その形状は縦長の二等辺三角形です。
状況から神様にお供えしていたものではないかと言われています。
山型というのは昔から神秘なものとされており、昔の日本人は山岳信仰として山自体をご神体としてきました。
「山」という偉大な人知を超えた存在に畏れ、また木の実や熊・猪・鹿などの食べ物を享受するありがたい存在として敬服し、また畏怖していたのでしょう。
貴重なお米を山型に成型することから、古代日本人とおむすびとの関係性がただならぬものであったことが推察されます。
【2】源氏物語にでてくるおむすびの話
弥生時代のころから存在していたおむすび。
文書としてはどのように残されているのでしょうか。
ここでは『おにぎりと日本人』(増淵敏之著・洋泉社2017年)から引用してご紹介します。
721年に成立した『常陸国風土記(ひたちのくにふうどき)』に「握飯(にぎいい)」という言葉が登場するど、おにぎりが作られていたらしいことはうかがえる。だが詳細は分からない。
おにぎりが日本の歴史に大々的に登場するのは、誕生から実に1000年以上が経った平安時代である。しかもそれは、あの『源氏物語』の一説なのだ。
第一帖「桐壺の巻」に、次のくだりいがある。屯食の 禄の唐櫃どもなど、ところせきまで、春宮の御元服の折にも数まされり。
(とんじきの ろくのからびつ・・・・・・とうぐうのごげんぷく・・・・・)
実は、この「屯食」がおにぎりなのだ。
平安時代の文献にしばしば現れる屯食(頓食とも)とは、多くは、強飯(こわめし)を卵形に握ったものである。
源氏物語に出てくるなんて、なんだか不思議で面白いですね。
おむすびが、平安の頃から人々の生活の中に溶け込んでいたことが窺えます。
【3】おむすび目当てで戦(いくさ)に志願?
おむすびの歴史を調べている文献は、探せば意外とあるものですね。
昭和女子大学近代文化研究所がまとめた『近代文化研究叢書3(おにぎりに関する研究)』(2005年)では、次のように記されています。
戦国時代には、戦いの時に兵糧としておにぎりが食べられるとあって、普段は粥だけの農民も、おにぎり目当てに兵士を志願す者も多かったという。携帯食としてのおにぎりは、「塩かます」という塩を入れておく袋に入れたことで、ご飯に適度な塩の味が付き、武士にとって貴重な塩分補給として、また飯はエネルギー源として戦いの勝利に一役買ったという。また、梅干とご飯の組み合わせができたのも、この時代であるといわれている。
おむすび食べたさに兵士に志願するとは、今では考えられませんね。
命とおむすびの天秤・・・で、おむすびに軍配が上がるというのは、本当にビックリです!
【4】新境地!コンビニのおむすび
コンビニでおむすびが販売されるようになり、時代に合った形でおむすびは市民権を得ました。
コンビニに入れば商品棚にはびっしりと、それはそれは様々な種類のおむすびが並んでいます。
コンビニチェーン各社はしのぎを削って新商品開発に取り組んでいます。
では最初にコンビニでおむすびを販売したのは、どこのコンビニチェーンだと思いますか?
それはローソンです。
昭和50年に大阪府豊中市の桜塚に開店したのが「日本のコンビニ1号店」。
その後1980年にコンビニでおむすびが販売され始めました。
(販売当初は5つの味で、梅、かつお、昆布、鮭、シーチキンマヨだったそうです。)
コンビニのおむすびの発展は、包装フィルムの改良と共にあったようですが、そのお話はまた今度・・・
まとめ
さて、おむすびの歴史についてのエントリーはいかがだったでしょうか?
おむすびについて調べ始めると、源氏物語や東海道五十三次に登場するお話など、日本では昔から私たちの身近な食べものであったことが分かります。
興味がわいてきた方はぜひインターネットで調べてみたり、おむすびに関する本を探してみてください。
おむすびを知れば知るほど、さらにおむすびのことが好きになっていくこと間違いなし!